かかりつけの動物病院を決めるとき、診療時間や場所はすぐに分かります。ただ、実際に通い始めてから大事になるのは、もう少し違うところかもしれません。急に具合が悪くなった休日に診てもらえるのか。予約を取らずに駆け込めるのか。手に負えない病気だったとき、正直に別の病院を勧めてもらえるのか。
東京都あきる野市秋川のあきるの動物病院は、市役所のそばにある動物病院です。獣医師4名・愛玩動物看護師4名の体制で犬猫の診療にあたり、トリミングサロンとペットホテルを併設。漢方や鍼を使った診療も行っています。今回は院長の森貴司先生に、日々どこに気を配っていらっしゃるのかを伺いました。
獣医を目指すまでと、あきる野という土地
——獣医さんには、もともとなりたかったんですか?
もともと動物が好きで、獣医を目指しました。大学に入って犬猫と触れ合って、学生の友人も犬とか猫を飼っていたりするんですよね。そういうのと触れ合って、そこから愛玩動物の獣医師を目指したという感じですかね。
——卒業後は、いろいろな場所で勤務医をされていたんですよね。
愛知には僕の実家があるんです。でも基本、23区が多いですね。ほとんど23区で、一年間だけ名古屋のほうで勤めました。
——この病院を継がれたのは、どういう流れだったんですか?
ここに勤めた時の院長が、引き継いでくれる人を探していたんです。そのまま、一通りできたので引き継いだっていう感じですかね。
——23区でも働かれていたとのことですが、このあきる野市の飼い主さんには、どんな傾向がありますか?
まず患者さんでいうと、やっぱり大型犬が多いですね。本当に、大型犬は多いです。あと多頭飼いもすごく多いです。やっぱり飼いやすいんでしょうね。
——土地がありますもんね。
みんな一戸建てに住んでいたりして、何頭も飼っている感じですかね。
「一番大切にしているのは、ヒューマニマルボンドという部分で」
ヒューマニマルボンドは、人と動物の結びつきを指す言葉です。
——診療で、どういうところを大切にされていますか?
僕が一番大切にしているのは、ヒューマニマルボンドという部分です。要するに、人と動物とのつながりですよね。もちろんその動物の命を助けることも、すごく重要ではあるんですけれども、やっぱり人とのつながりの中で生きている動物たちですから、関係性ですよね。飼い主と犬との。
——治すことそのものよりも、健康な時間を延ばす、というところでしょうか?
治すことも重要ですよね。そのうえで、やっぱり、いい関係を築ける時間をなるべく長くしてあげたいなと思っています。
——病気になる前に来られる方と、なってから来られる方がいると思うのですが、そのあたりはどうお考えですか?
やっぱり病気になる前に、早めに病気を見つけてあげて、未病の時間を長くしてあげる。これは結構重要ですよね。症状が出てから治療に入ると、その症状から抜け出せないことも結構あったりして、要するに病気と戦っていくみたいな付き合いになってしまうんですよね。
それよりも、健康診断で早めに発見するとか、血圧を測って「ちょっと血圧が高いね」とか、「体重をもう少し減らしたほうがいいんじゃないか」とか、そういったお話で、事前に元気な時間を長くできる。そのほうが僕はいいんじゃないかなと思っています。
——トリミングのときに皮膚の様子に気づく、ということもありそうですね。上の階のトリミングサロンから、来院につながることもあるんでしょうか?
確かにトリミングサロンも、結構いい出会いの場です。うちにも「トリミングを受けたいから」というお電話でのお問い合わせが来たりします。高齢になってきたので、というご相談から来始めることもあったりします。
「病気に休みなんてないっていうのが僕の気持ちなので」
——今、ご予約の状況はどうなっていますか?
うちは今のところ予約制ではなくて、来ていただいた順です。今後、予約制にする可能性もあります。
——それには何か理由があるんですか?
僕が勤めてきた病院は、みんな来ていただいた順でした。僕も予約制にしようか悩んでいた時期ではあったんですけど、結局、予約制はやめました。
計画された病気だけではなくて、例えば人だと皮膚科とか循環器科、呼吸器科とかがあるけれども、それ以外に救急を受けるところもあるじゃないですか。でも動物病院って、その救急の部分を全部含めているんですよね。
人だと循環器科とか皮膚科とか、通っている内容も分かっていて、次にいつ来るのかも分かっている方は予約を取ってもいい。けれども、うちのように全身を診るところ、救急病院というのは、予約をして予約時間に行くわけではないですよね。そういう方も来ることを考えると、予約ありきではないところもあるんです。
——初めての方は、お電話をしてから来られる感じですか?
初めての方はお電話をして来られる方が多いです。「予約制ですか」と聞かれることも多いですよね。でも、通っている患者さんは、新しい病気とかになっても、普通に電話をしないでパッと来てパッと帰るという感じです。
——ありがとうございます。少しお人柄の話になってしまうんですが、飼い主さんからは、どういうお医者さんだと思われていますか?
多分、優しそうと思われていると思います。あとは僕的には、全力を心がけていて、苦しんでいる子とかを見た場合は、なるべく診させてもらっているつもりです。あと、やっぱり他の病院がお休みの時、特に日曜日とか祝日とかって、一斉に周りが休んでしまうんですよね。でも、病気に休みなんてないっていうのが僕の気持ちなんです。
僕、子どもがいるんですけど、子どもが怪我をした時に探し回ったことがあるんですよね。うちは小児科がないので診れませんと言われて、あそこはレントゲンがあるから行ってくださいと言われて、そちらに出ましたら、今度はうちはレントゲンがないので撮れませんと。小児は診れるけれども、うちは診れないので、と。お正月なんですけどね。散々回されてしまって。
——ありますよね、そういうこと。
「二次」は二次診療施設のことです。地域の動物病院で対応が難しい場合に、より専門的な検査や治療を担う施設を指します。
僕はやっぱり、うちで可能な限りでいいのであれば、うちが診ます。どうしても二次の力を借りなくてはいけない時は、うちが責任を持って、ここがいいよ、ここだったらこの時に診てもらえるよと紹介します。そういう経験をすると、安心できる駆け込み寺みたいなところがやっぱりあったほうがいいなと思っています。
お正月にご自身のお子さんを連れて病院を回った経験が、そのまま「駆け込み寺でありたい」という言葉になっているように感じました。
「飼い主と二人三脚で診断治療を進めていこう」
——二次診療施設との連携について、こだわりはありますか?
自分が診たいから、自分がこの子を助けているからというこだわりで、その子を不幸にするのは良くないと思っています。自分よりも優れている先生とか、できることが幅広い病院だってあるわけなので、その子のことを第一に考えた場合に、じゃあうちであがいてみるのか、可能な限りやるのか。もちろん、そうしたい気持ちはあります。
でも、その子のことを本当に考えた時に、この部分はもっとできる先生にお願いしたほうがいいんじゃないかとなった時に、躊躇せずに飼い主さんにそれを提案すること。それは心がけています。自分が診れないとか、自分よりも優れていると認めるのは、なかなか嫌な点ではあるんだけれども、でもやっぱり、その子のことを第一に考えたほうがいいですよね。
もちろん、うちを頼って来てもらっている方、うちで診てほしいという方には、全力で診させてもらうんですけどね。
——人間でも、かかりつけで分からなかったら総合病院へ、という感じですよね。
そうですね。
——調べてから来られる方が増えていると思うのですが、どうお考えですか?
調べて病院に来られる方は増えましたね。大体の方は、こうこうこうなんですよと詳しくお話しすると、多少調べてきた内容と違っても納得されるんですけど、たまにネットのほうやAIのほうを信頼されている方もいらっしゃるんですよね。
知識と現実って違うんですよね。獣医だって、教科書と現実ではできることも全然違います。実際問題、教科書も、調べて出てくるものも、一つの病気を前提として書いてあるわけなんですけど、実際の生き物は一つの病気だけではなくて、多くのものが組み合わさっている。だからその子にとって本当にそれが正しいのかどうかは、診ている先生にしか分からないです。
知識的にはそれが正しくても、その子にとってそれが正しいとは限らないんです。それも一つの意見だと思って聞いてもらえるといいかなとは思いますよ。
——初めて来られる方に、おっしゃりたいことがあれば教えてください。
なるべく飼い主と二人三脚で、診断治療を進めていこうということは心がけています。自分なりには全力をかけて、その子に対してやっていきます。ただ、飼い主さんが付き合いやすいやり方とか、そういうのも含めて、全部が治療だと思っています。いろんなお悩みがあると思うんですけど、ぜひご相談いただければというところですかね。
——まずはお電話で、ということでしょうか?
フラッと来ていただいていいと思います。
取材のあいだ、森院長は「その子にとって」という言い方を何度もされていました。今のところ予約制にしていないことも、休日に診ることも、自分より適した先生へ渡すことも、そこから出てきているのだと感じました。
あきるの動物病院
| 所在地 | 東京都あきる野市秋川6丁目5番13号(あきる野市役所そば) |
|---|---|
| 電話 | 042-550-2299 |
| 院長 | 森 貴司(山口大学卒) |
| 体制 | 獣医師4名/愛玩動物看護師4名/トリマー3名/受付2名 |
| 診療時間 | 午前 9:00〜12:00 / 午後 16:00〜18:30 |
| 休診日 | 火曜日 |
| 受付 | 現在は予約制ではなく、来院された順に診察。初めての方は事前のお電話が案内されています |
| 診療 | 犬・猫の一般診療。漢方・鍼治療にも対応。エキゾチックアニマルは新規の受け入れをご遠慮いただいています |
| トリミング | 犬のみ。ご予約はお電話で |
| ペットホテル | あり |
| 往診 | 通院中の方を対象に、やむを得ない場合に限り対応。13:00〜16:00の完全予約制。手術・検査が入っている場合は対応できないことがあるため、事前にお電話でご相談ください |
| 夜間 | 原則として行っていません。18:30以降は救急対応の病院へご連絡ください |
| 二次診療 | より専門的な診療が必要と判断した場合は、二次診療施設をご紹介 |
| お支払い | 現金のほか、クレジットカード・キャッシュレス決済に対応 |
| ペット保険 | アニコム損保/アイペット損保/ペット&ファミリー損保は窓口精算が可能 |
| アクセス | あきる野市役所そば。駐車場あり。昭島市・青梅市・八王子市・羽村市・福生市・日の出町からの来院にも対応 |
| 公式サイト | www.akiruno-ah.com |