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インタビュー動物病院
東京都板橋区大山金井町の動物病院

「隠れ家的な病院と思ってください」— AZ(あず)動物病院・町田院長に聞く、大山の町医者であり続ける理由

取材日: 2026年7月29日 / 取材・文: 動物病院ナビ編集部

「この様子は、病院に行くほどのことなんだろうか」。犬や猫と暮らしていると、判断に迷う場面が何度もあります。最近は症状を検索したり、AIに聞いたりして、行くかどうかを決めてから受診する方も増えました。

東京都板橋区大山金井町のAZ(あず)動物病院は、東武東上線・大山駅から歩いて8分ほどの住宅街にある動物病院です。犬と猫の一般診療から入院・各種手術までを行い、トリミングとペットホテルも併設しています。院長の町田裕子先生は、日本獣医皮膚科学会の認定医です。今回は町田先生に、日々どんなことを考えて診療されているのかを伺いました。

東京都板橋区大山金井町。住宅街の一角にあるAZ(あず)動物病院

「ぬいぐるみに紐をつけて散歩させてみたり」— 大山で生まれ育って、大山で開業するまで

町
町田 裕子
AZ(あず)動物病院 院長
東京都のご出身で、生まれ育ちは板橋区の大山。卒業後は近隣の動物病院で7年間勤務されたのち、地元の大山で開業されました。日本獣医皮膚科学会の認定医で、日本獣医皮膚科学会とアジア獣医皮膚科学会に所属。2007年から2008年にかけて、雑誌『猫のきもち』の健康Q&Aの執筆を担当されています(公式サイト)。

——獣医師になったきっかけから、お話を伺ってもいいですか?

もともと小さい頃から犬猫が好きだったというのが、一番最初かと思います。その上で、犬猫と接しているうちに助けたいという気持ちが出てきたからなんですけれど、これというエピソードは特にないんです。

——それは昔からの夢だったんですか? それとも、流れのなかで?

昔からですね。もともと東京の生まれ育ちで、小さなマンションに住んでいたので、そこではペットが飼えなくて。犬が欲しい、猫が欲しいという気持ちのなかで、ぬいぐるみに紐をつけて散歩させてみたりしていました。そういう憧れのところから始まったのがきっかけかと思います。

——すごくいいエピソードですね。この大山で開業されたのには、理由があったんですか?

もともと生まれ育ちが大山なので、地元で開業させていただきました。

——いい街ですよね。私も好きで、商店街を一日かけて歩いたことがあります。ずっと大山で診療されているんですか?

卒業してからは、近所ではあるんですけれど、動物病院で勤務医をさせてもらって7年。そこから開業しました。

——大山の飼い主さんには、どんな特徴がありますか? 優しい方が多いとか、熱心な方が多いとか。

いろいろなところでご家族の方と接してきましたが、大山はとても気さくな方が多いです。猫ちゃん、ワンちゃんの話以外でも、お家のことだったり、子育てのことだったり、いろいろなお話をさせていただく機会が多いかなと思います。

——獣医師には、女性の方も多いんでしょうか?

最近は増えていると思います。半分ぐらいは女性なんですけれど、開業している人は多分少ないですね。ご夫婦でやってらっしゃる方や、勤務医やパートで働いている方は、私の知り合いでも多いかと思います。

——女性ならではで、難しいと感じることはありますか?

やはり、子どもが3人いるので、学校の行事に行けなかったり、子どもと接する時間が短くなることが多いかなと思います。そういう姿を見て育ってくれているところもあるんですけれど、なかなか時間が取れないというのは悩むかもしれないですね。

あとは、女性ということで優しく接せられるところもあるんですけれど、男性の方よりも厳しく伝えるのが難しかったり、なかなか分かってもらえないところが多いかなと思っています。

「隠れ家的な病院と思ってください」— 皮膚科の認定医が、町医者であり続ける理由

日本獣医皮膚科学会は、犬や猫の皮膚の病気を扱う獣医師の学会です。町田先生は同学会の認定医で、アジア獣医皮膚科学会にも所属されています(公式サイト)。

——診療で心がけていらっしゃることを、お聞きしてもよろしいですか。

診察から手術まで、本当に全部を受け持っているんですけれど、私はもともと皮膚科の認定医なので、皮膚科に特に力を入れているところかなと思います。

——皮膚科というと、ほかの診療とは何か違いが出てくるものなんですか?

一般的な診察のなかの皮膚というのは、もちろんあります。ただ皮膚は、長く付き合っていかないと分からない、ぽっと出で見ても分からないという病気ではあるんです。

どうしても、命に関わらないぶん流されやすいところがあります。普通に治療をしたけれど治らなかった、ということで来られる方も多いんです。

その中でお話や悩んでいらっしゃることを聞いて、解決に導ける、もしくはどういうふうにその病気と付き合っていけるかというお話ができるといいなと思っています。だから、話す時間をなるべく長く取るようにしています。

セカンドオピニオンは、かかっている病院とは別の獣医師にも意見を聞くことです。

——セカンドオピニオンで来られる方に向けた診療なのか、町のお医者さんとしての診療が中心なのか、どちらが近いですか?

町医者ですよ、本当に。隠れ家的な病院と思ってください。ちょっと通り過ぎてしまうような、知っている人しか知らないよね、という感じです。

それでも意外と、遠くから来てくださる方もいらっしゃいます。すごく頼りにしてもらっているなと感じますね。8割方が町医者で、2割ぐらいがセカンドオピニオンの方になっているかと思います。

——構えがそうですよね。ホームドクターとしての診療は、開業されたときからですか?

元からですね。

二次診療は、地域の動物病院で対応が難しい場合に、より専門的な検査や治療を担う施設のことです。

——そこには、何か思いがあったんでしょうか?

もともと大きい病院で働いていて、二次診療みたいなところだったんですけれど、そういうところも大事なんです。ただ、普段から何かサインを見逃さないように、ご家族の方に指導したり、私たちが見つけられるところを大事にしたいという思いがありました。それで、ちっちゃな病院を構えたというところではあります。

大したことじゃないかもしれないけれど、病気にもつながらないかもしれないけれど、ちょっとしたことでも何でも相談できる獣医になりたいなと思って開業しました。

診察室に並ぶ顕微鏡と超音波の機器

「子育てと一緒なので」— 厳しく伝えるとき、そうしないとき

——診療のなかで、ここは厳しく伝える、と決めていらっしゃることはありますか?

子育てと一緒なので、そのお家の方針があって、それに従っていいと思うんです。でも、それが最終的に病気につながってしまったり、死に至ってしまうというような状態がある場合は、私たちは専門として、そこは厳しくちゃんとお伝えできるようにと心がけています。

——病院に行くと怒られるから嫌だ、という声もよく聞きますよね。

でも私、あまり怒らない方ではあるんですよね。もっと厳しく言った方がいいよ、と言われることは多いです。

やはり、その気持ちが分かるようにというか。私も自分の子どもを育てている立場なので、同じ立場としてお話しさせていただくと、どうしても自分が甘くなってしまうことも多いんです。

「そこは分かります。でも、ここはこうした方がいいですよね」とお伝えしますし、逆に飼い主さんから教えてもらえることも多いです。多分、厳しい方ではないのかなと思うんですけれど、それで分かってもらえればと思っています。

——飼い主さんからは、どういう先生だと思われていると思いますか?

なかなか言いづらいですよね。厳しいところは厳しいんですけれど、優しいと言っていただくこともあります。本当かな、と思いますけれどね。

あとは、家族と同じように接してくれる、と言っていただけるのはすごく嬉しいなと思います。

——以前、雑誌『猫のきもち』の記事に関わっていらっしゃいましたよね。

やっていました。

——専門の知識を一般の方にお伝えするお仕事ですね。今も続けていらっしゃるんですか?

そうやって発信していきたいという気持ちはあるんですけれど、普段の診療の方がメインになっています。記事を書く時間が今はないというところですね、残念ながら。

——今も勉強を続けていらっしゃる分野はありますか?

全般的に続けていますし、新しい知識はどんどん増えてくるので、そういうところもあります。もちろん皮膚科も続けていますね。

厳しく伝えるかどうかの話をされていたあいだ、町田先生は「子育てと一緒」という言い方を何度もされていました。診療の方針というより、ご自身の暮らしのなかから出てきた言葉のように聞こえました。

入口。自動ドアの先が待合スペースになっています

「緊張せずに、気軽に来てほしい」— まず一度、話をしてもらわないと分からないこと

——先生にとって理想の動物医療を、聞いてみてもいいですか? あまりにも大きすぎる話なんですけれど。

どうでしょうね。最近はAIが発達していて、AI先生に聞いてから来られる方が多いです。ただ、その子に必ずそれが当てはまるかというと、どうしても当てはまらないんです。危険な診断をしてしまう方が多いので、一度、お電話でもいいですし、足を運んで「こんな症状なんです」とご相談いただけると一番いいなと思います。

気軽に相談できる場所を、私たちは提供したいなと思っています。

動物にはお金がかかると言われますし、私たちも昨今の値上がりで、今まで通りの診療がなかなか難しくなってきているところではあります。それでも、こういうふうにしたらいいのかな、そんなにご負担はかけられないからどうやったらいいんだろう、ここぐらいまでだったらやってみるのはどうかな、と一緒に考えられます。

これという正解は、その方とその子によって違うので、それぞれ相談しながら決められるといいのかなと思っています。やはり一度、話をしてもらわないと分かりません。

——初めて来られる方へのメッセージがあれば、教えてください。

私でも初めてのところに行くと緊張するので、緊張せずに気軽に来てほしいなというのが、一番のメッセージかと思います。どんなことを話せばいいんだろうと思い詰めていらっしゃる方もいっぱいいますが、和気あいあいと来ていただければ嬉しいです。

猫ちゃんは家から出すのがすごく難しいので、ちょっとしたことで連れて来るというよりは、お電話で「こんな症状があって、絶対行った方がいいのかな」「動画を撮ってくればいいのかな」とご相談いただくのでもいいと思います。

ワンちゃんだと、お散歩がてらちょっと寄ってもらえれば、病院って怖くないところだなと思ってもらえるのが一番です。おやつを食べに来るでもいいですし、体重を測りに来る、スキンシップをしに来るだけでも大丈夫です。散歩でこっちに入りたくて仕方がなくなってしまうワンちゃんも何人もいるので、そんな感じで来てもらえると嬉しいなと思います。

——動画で相談してもいいんですね。それは知りませんでした。

もちろんです。例えば「ここを怪我しています、どうしたらいいですか」でしたら、見ないと分からないよね、となります。

猫ちゃんはすごく緊張してしまうので、連れてくるのも大変という場合に、「ここが剥げているんです、お腹なんです」でしたら、じゃあちょっと写真を撮ってきてよ、と。「こんな感じで歩くんです」でしたら、じゃあちょっと動画を撮ってきて、と。まず見せてもらったときに、これなら一回来た方がいいよね、ということはあります。

もちろん、それではちょっとだめだよね、という時もあります。例えば、うんちを見たいですというのに、うんちの写真を撮ってきましただと、分からないこともあるかもしれない。ただ、何もない状態で「こんなんですよ」と言われるよりは、写真があった方が「こういううんちをしていたんだね」と分かります。

多少なりとも持ってきてもらうのが一番なんですけれど、画像としても撮っておいてもらえるといいのかなと思います。

——設備や取り組みという面では、新しいものを取り入れている病院と、古き良きを大事にしている病院があると思います。こちらはどちらに近いですか?

どちらかと言ったら、多分、古き良きだと思います。本当はいろいろなAIだったり、新しい最新のものを導入してやりたいところもいっぱいあります。

私たちではどうしても手に負えないねというところには、ご紹介させてもらいます。その中でこちらの方が合っているんじゃないか、ということはお勧めできると思うんです。ただ、気楽に相談できるとか、今私たちができることを考えた場合には、どちらかというと、接することで判断できる、人のぬくもりからできるものを重要視しています。

——会計や、予約のお電話にAIを入れる、という話もありますよね。

取り入れたいなとは思うんです。スタッフも少ないので、電話に出られないことが何件も重なってしまうこともあります。ただ、ご予約を入れます、10時、11時、12時が空いていますという時に、パッと入れるものかどうかは、その病気によってだと思うんですね。

「本当にその時間でいいの?」ということもありますし、「それだったらもっと早く来た方がいいんじゃない?」ということもあります。簡単な予防でしたら全然いいんですけれど、振り分けとして考えると、直接お電話で話をした上で、ご予約をお取りしています。

会計も、間違いは絶対にそちらの方が起きないんです。ただ、何もなく「お会計です」で終わってしまうと、なんとなく冷たく感じてしまうところもあります。私たちは時間もかかりますし、飼い主さんにもご迷惑をかけてしまうけれど、今はそちらを重視しています。そのうち、そういうものも導入するかもしれないですけれどね。

効率を上げる仕組みを今は入れていない理由として、町田先生が挙げられたのは、電話で症状を聞いてから来院の順番を決めたいということと、会計の場で一言も交わさないのは冷たく感じてしまうということでした。「古き良き」という言葉が、単に新しいものを入れていないという意味ではないように聞こえました。

通りに面した看板。診療時間と休診日が書かれています

AZ(あず)動物病院

所在地東京都板橋区大山金井町17-2
電話03-6909-3732
院長町田 裕子(日本獣医皮膚科学会 認定医/日本獣医皮膚科学会・アジア獣医皮膚科学会 所属)
経歴大山のご出身。卒業後、近隣の動物病院で7年間の勤務を経て、地元の大山で開業
診療犬・猫。一般診療から入院・各種手術まで。皮膚科に力を入れています
予防・健診狂犬病予防接種(保健所への登録代行)、混合ワクチン、ノミ・マダニ予防、腸内寄生虫の駆除、避妊・去勢手術、デンタルケア、年齢に応じた健診(公式サイト)
診療時間午前 9:00〜12:00 / 午後 16:00〜19:00(2026年7月の院外看板の表示)。公式サイトには9:30〜12:00と記載があるため、受診前にお電話でご確認ください
休診日日曜日、祝日の午後(院外看板の表示)。臨時休診日は院内に掲示されています
受付予約優先制(公式サイト)。振り分けのため、まずお電話で症状を伝えてからのご予約が案内されています
相談猫の症状は、写真や動画を撮ってお電話でご相談いただくこともできます
トリミングあり。院長の指導のもと、薬用シャンプーを使った薬浴、高濃度炭酸泉を用いた施術も行っています(公式サイト)
ペットホテルあり。防音設備を備え、犬と猫で部屋を分けています。一時のお預かりと宿泊のどちらにも対応(公式サイト)
往診・送迎公式サイトの診療案内に記載があります。内容はお電話でご確認ください
駐車場2台(公式サイト)
アクセス東武東上線 大山駅より徒歩8分(公式サイト)
公式サイトwww.az-ah.net