JR京葉線・潮見駅の西口から歩いて1分。LUNAペットクリニック潮見は、URのペット共生住宅「潮見駅前プラザ一番街」の1階にある動物病院です。犬と猫に加えて、ウサギ、ハムスター、フェレットも診療しています。
院長の岡野祐士先生に、ウサギの診療に力を入れてきた経緯と、ウサギと長く暮らすための病院との付き合い方を伺いました。
犬や猫も診る。でも、一番のメインはウサギさん

——この潮見で開業されたのは、どうしてだったんですか?
ちょうど開業しようと思っていたころ、知り合いの紹介でコンサルタントの方と話をしていたんです。その方のお話では、それまではペット共生のマンションがなくて、URさんが初めて作るペット共生マンションの第一号がここだということでした。25年前のことです。
ペットと一緒に暮らせるマンションとして設計されていて、表には足洗い場もあります。そのコンサルタントの方から、ここに入らないかというお話があって、面白いなと思って開業しました。
ただ正直、僕のところは普通の動物病院とちょっと違うんです。犬や猫も一応診るんですが、一番のメインはウサギさんなんですね。ウサギの飼い主さんは、遠くから来られるんですよ。
——ウサギの子は、半分を超えるくらいですか?
カルテの6、7割近くはエキゾチックで、そのほとんどがウサギです。みなさん遠くから来られるので、立地で一番良かったのは、京葉線の駅まで徒歩1分という近さですね。電車で来られる方もいますし、車のアクセスもいいので、遠くからでも来られます。
ウサギは犬や猫と違って、ケージに入れてそのまま車で来てしまえば、1時間ぐらいは普通に来られるんです。一番遠い方だと、今は茨城や横須賀、埼玉から来られています。
エキゾチックアニマルは、犬や猫以外のペットのことです。LUNAペットクリニック潮見では、ウサギ、ハムスター、フェレットを診療しています(その他の小動物は要相談。公式サイトより)。
横須賀のほうへ引っ越した方に、近くにウサギで有名な先生がいるよとお伝えしたこともあるんです。でも、そこにも車で40分ぐらいかかるなら先生のところに来ます、と言って、引っ越したあともこちらに来てくださっています。

——ウサギは、ストレスに弱いイメージがありました。
ストレスに弱いとは言われますけど、簡単に死んでしまうなら、もう絶滅しています。本当に極度の恐怖や極度の痛みを感じると、自分で心臓を止めてしまう動物なんですね。食べられるときに、痛い思いをしたくないということです。
ただ、いつも入っているケージや移動用のケージに入って、飼い主さんがそばにいれば、1時間車に乗るくらいで恐怖は感じないんです。車のエアコンをきちんと調整していれば、暑さの心配もなく普通に来られます。心配される方もいますが、来てみたら全然変わらなくて、じゃあ大丈夫だという方もいます。
ストレスが不安だと言うなら、病院に来ること自体がストレスになります。僕から言えば、移動がストレスになるから家から出してはだめ、ということになってしまうんです。そうしたら、病院にも来られません。ストレスという言葉が、一人歩きしているんですよ。
ウサギは病気を隠す。おかしいと思ったら、すぐ病院へ
——ウサギの迷信というと、「寂しいと死んでしまう」という話もありますよね。
寂しくて死んでしまうというのも、僕からすると都市伝説です。ただ、ある意味では間違っていないなと思うんです。うちに通う飼い主さんは、ちゃんと飼っていて、ちょっと何かあるとすぐ病院に来ます。そういうふうに、飼い主さんの意識を変えてきました。
犬や猫を飼っている方は、3日ぐらい様子を見て、先生、3日間食べていないんです、3日間下痢なんです、と来られますよね。でもウサギは病気を隠すので、3日食べていない状態で来たときには、たぶん助けられないケースもあります。
それを知らないと、ご飯をあげていつもどおり過ごしていたのに、いつの間にか死んでいた、ということになります。相手をしなかったから寂しくて死んじゃったんだ、というのが、都市伝説になったんだと思います。うちの飼い主さんは、ちゃんとお世話をしていれば、あれ、なんで今日は食べるのが少ないんだろう、と思って来てくれます。だから助かっているんです。
——犬や猫なら少し様子を見ることもありますが、ウサギは気づいたら早く、なんですね。
食べられてしまう側の動物なので、病気を隠すんですよ。狙われるのは、弱っている動物か子どもの動物です。本能でそれがわかっているんですね。だから、採血してみて、えっ、こんな値なの、ということがあります。犬や猫なら横倒しになっているような値でも、ウサギは食べていないだけで、普通に座っているんです。
無理やり採血しようとすると、バタンと死んでしまうこともあります。僕もスタッフも、毎日元気なうさちゃんも危ないうさちゃんも見ているので、その判別がなんとなくわかるんです。
病気を隠すのがうまいので、飼い主さんも、場合によっては気づかないことがあります。気づかないと、すぐに死んでしまうこともあります。長生きできない、ストレスに弱いというのは、そこが先走っているだけなんです。きっちり飼っていれば、うちの患者さんのように、14、15歳まで生きるうさちゃんも多いんですよ。
ウサギは、たぶんベテランの飼い主さんでも、場合によっては見逃してしまうくらいわかりにくいんです。そこが犬や猫とは大きく違います。なので、犬や猫の飼い主さん以上に、ウサギは何かおかしいと思ったら病院に来るくらいの気持ちでいてね、とお伝えしています。それで、うまく助かって長生きできているのかなと思います。

——初めて飼われた方なら、ワクチンをきっかけに来ることが多いですよね。ウサギの場合はどうですか?
実は、ウサギとハムスターの飼い方の本を出しているんです。その本にも書いているんですが、迎えてから2、3週間、家で落ち着いて、特に病気がなければ、必ず病院に行きましょうとお伝えしています。
なぜかというと、ウサギの飼い方を何で知りましたかと聞くと、今はみなさんネットなんです。ネットには、うそも本当も書かれています。匿名性が高いので、これを食べてうちは長生きしました、と無責任に書けてしまいます。長生きで検索すると、自分にとってポジティブなものばかり出てきて、これが正しいんだと思い込み、間違った飼い方になってしまうんです。だから、迎えて数週間したら、まず病院で健康診断を受けて、かかりつけを作っておいてください、と伝えています。
ネットで調べて、ウサギは避妊しないといけない、と知って、避妊の相談に来られる方も多いですね。飼い方の指導を受けに来たいという方もいます。でも、口コミで広まっているのか、普通に健康診断で来られますね。
——まずは健康診断から、なんですね。
ウサギは、具合が悪くなったら行けばいいや、とみなさん思っているんですよ。うちに通っている方は、健康診断に来てくださいます。むしろ犬や猫より、2、3か月に1回ここに来るのが普通になっているんです。僕が調子を見て、問診をして、口の中を見たりと、ここでできることをひと通り軽くやって、健康だねとお帰しします。
取材の日、待合室には「今年も11月から うさちゃんドック強化月間が開始です」という掲示があり、予約は10月から受け付けると書かれていました。
言われて始めたウサギの診療。やってみたら、奥が深かった
——先生はもともと、ウサギが得意だったんですか?
大学では実験動物の研究室にいて、スナネズミ、ジャービルという、ラットより小さいネズミの仲間を扱っていました。別に、それで何かが得意だったわけではないんです。
勤めた病院は獣医さんが何人もいるところで、それぞれ専門分野を作ろう、という方針でした。僕はちょうど実験動物をやっていたので、エキゾチックをやりませんか、と院長に言われたんです。犬や猫も診るけれど、ほかの先生がエキゾチックで困ったら担当を代わって僕が診る、という形ですね。それが発端です。ちょうどその頃、ジャンガリアンハムスターが普及し始めました。
——ハムスターのブームですね。
僕も飼いましたけど、1匹3、4千円ぐらいする時代でした。ハムスターの治療を自分なりに勉強したり、セミナーに行って勉強したりしていました。
1年目のときに、海外からエキゾチックの専門の先生が来て、日本中の先生が聞きに来たセミナーに、うまく同席できたんです。ちょうどウサギがメインの内容で、今まで教わってきたことは全く違っていたんだ、とわかりました。そこから、じゃあ君がウサギを診なさい、ということになったんです。
もうひとつは、最初の飼い主さんが、アメリカからウサギを輸入して飼っていた方だったことです。30年前のことですね。その方を診て、将来ウサギの先生になって、と本をいただきました。獣医師向けではなく、飼い方が細かく書かれた本で、当時はそういう本がなかったんです。それをもらって勉強しました。
これからはたぶん、ウサギもペットではなく家族になっていく時代です。ウサギの獣医学もきちんと発展させないといけない、と日本の獣医さんたちも団体を作って、その始まりにできたのがエキゾチックペット研究会でした。そこに所属して、いろいろ勉強してきたんです。
最初は、やりなさいと言われたのが始まりでしたけど、やってみたら奥も深いし、新しい情報がどんどん入ってくるんです。すごく楽しくなった、というのが最初ですね。

——開業されてからは、勤務医時代の飼い主さんもついてこられたんですか?
ここはURで、上はペット共生の住まいなので、犬や猫もいます。ウサギだけではやっていけないので、もちろん犬や猫を診るのが前提です。
勤務医時代からエキゾチックを診ていました。当時はまだインターネットがそれほど広まっていなかったんですが、mixiで、ウサギを診てくれる病院はありますか、とやりとりされていたらしいです。退職するときには、通ってくださっていた飼い主さんに退職することを伝えて、来たいという方には、探してね、と言っていました。それで来てくださった方もいます。
犬や猫の避妊・去勢は、病気の予防ですよね。ウサギは子宮の病気などがもっと多いので、開業してから、避妊も絶対にすべきだと思って、来たウサギさんにはどんどんやりましょう、と勧めてきました。今は、うちの患者さんの99.9パーセントが避妊をしています。去勢も、ほとんどの子がしている状況です。もちろん、病気の予防のためです。
「ウサギを診る以上は、ちょっとコアにやっていないと助けられない病気が結構あるんです」とも話していました。
数はこなせなくても、話を聞くことには時間をかける
——ウサギに限らず、病院として大切にしている診療の方針を教えてください。
できる限りお話を聞いて、信頼関係を築いて治療していきたい、というのが根本です。だから、初めての方から来たいというお電話を受けたときも、時間に余裕を持って来てくださいとお伝えしています。こちらも聞きたいことがあるし、飼い主さんも知りたいことがあるでしょうから、話をしっかりしようと思っています。場合によっては、診察に30分ぐらいかけることも普通にあります。
うちは数をこなせないので、とにかく時間をかけて、インフォームド・コンセントもなるべくきちんとしたいんです。その子のことや飼い主さんのことを知っていくためにも、話すことには時間をかけてでもしようと思っています。これは開業当初から変わりません。
インフォームド・コンセントは、治療の内容や理由について説明を受け、納得したうえで治療を選ぶことです。
たまに口コミを見ると、この病院は待つので覚悟してください、と書かれているんです。みなさんわかっていて、ここで待つ間の過ごし方をいろいろ考えて来てくださるので、助かっています。自分でゆっくり話を聞こうと思って開業した、というのもあるんです。
まずは話を聞いて、いろいろ知っていきたいんです。もちろん検査もしますが、自分としてはまずそこですね。それから、小さな病院ですから、何でも相談しやすい雰囲気にしたかったんです。かっこいいシックな病院ではなく、保育園みたいな色を使って、子どもが来ても怖がらないように考えて作りました。

もちろん、僕の手に負えない手術や、うちにない設備が必要になれば、近隣の先生に紹介する窓口にもなります。人間でも、かかりつけの先生がいて、そこでできなければ、いい先生がいるよと紹介しますよね。自分で何でもできるとは思っていません。江東区の獣医師会は、先生たちが結構仲がいいんですよ。仲間同士で紹介し合えるようにやっているので、そこは江東区の患者さんにとって、とてもいいのかなと思います。
公式サイトによると、LUNAペットクリニック潮見は、東京のベイエリアの動物病院が参加する東京イースト獣医協会の会員病院です。夜間の診療は行っていません。夜間の救急は、近隣の先生方と設立した「ひがし東京夜間救急動物医療センター」が担ってきましたが、現在はイオンペットに委譲しているそうです。
——初めての方は、電話とネット予約のどちらが多いですか?
一応、電話ですね。うちは予約制をとっていないんです。今は順番待ちのシステムを取り入れていて、ウェブで受け付けて、その順番で診ています。それをせずに突然来られると、順番は後のほうになります。
まず電話をいただければ、そこで僕らが順番に入れることができます。ホームページにも書いてありますが、とにかく初診の方は電話をかけてください。通っている方は、そのシステムで受け付けると、何分後ぐらいに来てくださいと表示されるので、それで来ていただいています。
——最後に、初めての方へメッセージをお願いします。
ひとつは、気軽に相談にのってくれそうな、話を聞いてくれるような病院を目指しています。それから、うちは正直、ウサギに特化させているので、ウサギさんのことで困ったときには来てほしいなと思っています。
必ずお電話をいただきたいとお伝えしているのは、転院される方も多いからなんです。どこかで治療を受けていて急に来られると、僕らも同じ薬を使うことになります。そうすると治りませんよね。だから初診の方は、どんな薬を使って、どんな治療をしてきたのかを必ず聞いてきてください、と電話のときにお願いしています。これは犬や猫も同じです。
どうしても聞けなかったのなら、それは仕方がありません。ただその場合は、同じ薬を使えば同じ結果になりますが、それをご了承のうえで来てください、という言い方をしています。転院されるときは、資料を持ってきていただくか、連絡を入れていただくことが必要なのかなと思います。
ウサギは病気を隠す。だから元気なうちから健康診断で顔を見せ、少しでもおかしいと思ったら来てほしい。初診の前にお願いしている電話も、時間をかけて話を聞く診察も、その子のことをきちんと知ったうえで診るためのものなのだと感じました。
LUNAペットクリニック潮見
| 所在地 | 東京都江東区潮見2-6-1 潮見駅前プラザ一番街 |
|---|---|
| アクセス | JR京葉線 潮見駅西口から徒歩1分(専用駐車場はありません) |
| 電話 | 03-5632-6566 |
| 診療対象 | 犬・猫・ウサギ・ハムスター・フェレット(その他の小動物は要相談) |
| 受付 | 初診は電話で連絡してから来院。自宅からのWeb受付あり |
| 夜間 | 夜間の診療はなし。夜間の救急はひがし東京夜間救急動物医療センターへ |
| 院長 | 岡野 祐士(日本大学生物資源科学部獣医学科卒) |
| 公式サイト | LUNAペットクリニック潮見 |
診療時間や休診日、最新のお知らせは、公式サイトでご確認いただけます。
