うちの子の具合が悪いのに、何が起きているのか分からない。治療の選択肢を示されても、費用や通院のことまで考えると、どれを選べばいいのか迷ってしまう。動物と暮らしていると、そんな場面に出会うことがあります。
東京都目黒区目黒の目黒アニマルメディカルセンターは、JR目黒駅西口から歩いて8分ほど、山手通りと目黒通りの交差点にある、犬と猫の動物病院です。院内にはCTとMRIがあり、ペットホテルと美容室も併設しています(公式サイト)。WOLVES HAND動物病院グループの病院で、今回は統括院長の奥田皐耶先生と、院長の金子真大先生に話を伺いました。

「困った時に来れる病院っていうのを、イメージして来ていただけたら」
——まず、これまでのご経歴を教えていただけますか?
大学を卒業したあと、グループの大阪本院、今でいう大阪動物医療センターで5年間勤務しました。その後に、ここ目黒の院長に着任しています。
その2年後に、調布動物医療センターと両方の病院の統括院長になりました。今は、ベイサイドアニマルクリニックと多摩の森動物病院の院長兼アドバイザー、統括院長として働かせていただいています。
——「ここに行ってください」と言われるものなんですか? それとも、手を挙げて?
目黒に来た理由でいうと、大阪動物医療センターで働いていたときに、画像診断や麻酔の管理といった、いわゆる裏方の仕事を多くしていたんです。こちらの病院にはCTとMRIがあって、そういう施設の院長をやらせてもらえるということで、こちらに来ました。
それ以降は、いろいろな病院の足りないところを補う形で、アドバイザー兼獣医師として行かせてもらっています。なので、「どこに行ってください」というよりは、「行ってみますか?」という提案型ですね。
——目黒のこのエリアで、この病院はどんな役割を持っているんでしょうか。
うちの病院は、名前や見た目が、ちょっと敷居の高い感じに見えるかもしれません。でも、どちらかというと、予防や避妊手術から、紹介を受けて診る難しい症例まで、幅広く診られる病院を目指しています。
一次診療は、ふだんの診察や予防など、かかりつけの病院が担う診療です。二次診療は、ほかの病院から紹介を受けて、より専門的な検査や治療を行う診療を指します。1.5次は、その間にあたる位置づけとして使われる言葉です。
一次から1.5次、あるいは二次というところまで対応できる形の病院を目指してやっています。東京には専門の先生方が多くいらっしゃるので、そこに引き継ぐことも大事です。動物にとってより良い選択が取れるように、紹介もさせていただきます。
逆に、早くやったほうがいいことであれば、当院でやらせてもらう。些細なことから重いことまで、困ったときに来られる病院。そういうイメージで来ていただけたらいいかなと思っています。
——まずはこちらで、広く受け入れてもらえるということですね。
そうですね。ここに来ていただければ、とりあえずどうすればいいかの道筋は立ててあげられる病院にしたいと思っています。「これはこうだから分からないね」ということがないようにしたいですね。
専門の先生に引き継ぐことと、早くやったほうがいいことを自分たちでやること。奥田先生はこの二つを、ひとつの答えのなかで続けて話していました。
「検査できないからわかんないけど、こうしようか、がなくなると思います」

——CTやMRIがあるかどうかで、飼い主さんから見て、できることはどれくらい変わるんでしょうか。
CTやMRIがあることで、病気を見つけて理解するというところは、通常の血液検査やレントゲンよりも深いところまで分かります。手術の計画や、治療の計画も立てやすくなります。
その正確な情報を、できる限りスピード感を持って飼い主様にご提供できるようになる。そこがいいところかなと思いますね。
——いろいろな検査で「これではない」と絞り込んでいくところが、より詳しく分かるということですね。
「この検査はないけど、これだと思うからこうしよう」を減らしてあげられるのかなと思います。正しい診断で、正しい治療を適切なタイミングに提供できる。それが、いいところなのかなと思いますね。
——「これも考えられるから、この検査もあの検査もしよう」というのを、事前に減らせるということですね。
そうですね。あとは、「検査できないからわかんないけど、こうしようか」がなくなると思います。

——専門性をより深めてこられた経緯を、お聞きできますか?
会社全体として、どんな症例でも諦めずに治せる道を探す、という理念があるんです。難しい症例でも「もうこれは諦めてしまいましょう」ではなく、新しい治療も含めて、深いところまで見られるようにと考えています。
うちのグループには、循環器の認定医や腫瘍科の先生など、得意な科を持つ先生が多いと思います。そういう人たちがグループになることで、いろいろな場面で知識を共有できます。
動物を助けるという理念を最大限に実現するには、専門性を高めていくことが近道だと思いました。会社としてもそれを考えていて、僕ら個人も、その理念に共感してやらせてもらっています。
——グループのなかで、症例ごとの取り組みはどのように共有しているんですか?
病院単位での症例検討に加えて、オンラインで手術の動画や治療プランを共有して、相談しながら進めることもあります。診療後の検討を共有しながら進めることもありますね。
グループ内は聞きやすいので、その場で電話して、「こういう症例なんだけれど、どう治療方針を立てていくのがいいか」と相談することもあります。会社でセミナーも開いていて、スタッフが参加して全体の底上げをしています。
——病院をまたいで意見を聞くのは、なかなか難しいこともありますもんね。
大阪にいるうちの代表は外科が上手いので、本当に難しい症例は、最善を尽くすためにその先生を呼んでやっていただいています。それをいろいろな病院の先生が見に来たりして、知識や技術を共有しています。そういう形で、日々の診療のスキルアップと、いい医療の提供を考えてやっています。(奥田統括院長)
院長の金子先生によると、グループのほかの病院の難しい症例を月に1、2回ほどこの病院に集め、大阪の本院から代表に来てもらって手術をしているそうです。取材の日に案内していただいた院内には、代表が手術に来るときなどに使うという、動かせるX線装置(Cアーム)もありました。

——奥田先生が診療で大切にされていることや、飼い主さんへの説明で心がけていることを伺えますか?
この仕事を目指したのは、もちろん動物のためでもあるんです。ただ、やりながら思っているのは、飼い主様の状況や気持ち、思いにも寄り添える形で、診療の選択肢を提供できたら、ということです。
結局、何のために治療するのか。本当に家族が元気に、というところですよね。治らない病気だとしたら、元気にはできなかったとしても、しんどくないように、楽しいことができるように、苦しくないように。そういうことを目標にできる治療を心がけています。
病院全体としては、金子院長の考えもあると思いますが、みんなで共有しているのは、こういうことです。この病院にはCTやMRIがあって、ほかの検査もできるので、診断というところに強みがあります。
そのうえで、しっかり答えを導き出して適切な医療をご提供しつつ、学術的なことだけにこだわらないようにする。いい正解を出すことと、家族の形が良くなるための医療を提供することを、丁寧にやっています。(奥田統括院長)
「言いたいことっていうのもすぐ言えるような関係を作っていきたい」

——金子先生のご経歴を、簡単に教えていただけますか?
自分は、ちょっと面白い経歴なんです。大学卒業後は動物病院ではなく、臨床の世界でいう「前臨床」という分野で働いていました。大学は北海道で、そのあと鹿児島の毒性研究所に行きました。
前臨床は、新しい薬を人に使う前に、安全性などを確かめる段階の研究のことです。
薬の卵、つまり薬になる前の段階のものの毒性を見る仕事です。必要悪ではあるんですけれども、人より先に動物に投薬して、どういう副作用が出るのかを見させていただく。そういう研究とともに、副作用が出たあとのケアといった、獣医師にしかできない仕事もしていました。
ただ、毒性を調べる研究所の仕事は、みんなが同じようなことをしなければいけません。毎日同じことをしていると、ちょっとつまらなくなってきてしまって、臨床の世界に戻ってきました。
地元が埼玉なので埼玉の病院で働き、今のWOLVES HANDの前身にあたる動物病院で、このグループで働き始めました。働きながら大学の研修医や夜間救急も重ねて、今、ここの院長をしています。
——院長になられてから、この病院はどう変わってきましたか?
自分のスタンスとしては、飼い主様に寄り添った治療方針を大切にしています。お医者さんが上で、飼い主様が下という関係ができてしまうと、飼い主さんも言いたいことが言えなくなりますよね。
継続的な治療を行ううえでは、結構なお金がかかることもあるじゃないですか。そのときに、飼い主さんがきつくても「きつい」と言えなかったとします。それで、その子を救うことにはなるかもしれませんが、その子がいる家庭全体で見ると、マイナスになってしまうんじゃないかと思うんです。
なので、言いたいこともすぐ言えるような関係を作っていきたいと思っています。
インフォームドコンセントは、説明を受けたうえで治療に同意することです。インフォームドチョイスは、複数の治療の選択肢について説明を受け、そのなかから飼い主さんが選ぶことを指します。
フランクに話しながら診療を進めるとともに、インフォームドチョイスを大切にしています。しっかり説明をさせてもらったうえで、選択肢を一つではなくいくつか提示して、欠点も利点も全部お伝えする。
そのうえで、その子に合った治療法や、今後どういう感じでやっていくかを、一緒に話し合いながら進めていくスタンスをとっています。一件あたりに多少時間は必要なんですけれども、スタッフが多いところをうまく活用させてもらって、一人一人丁寧に診察させていただいています。
今は、リピーターの方も含めて、徐々に活気づいてきたなと感じています。引き続き、一人一人との対話を大切にしながら、親切で丁寧な診察を目指していければと思っています。
治療の選択肢の話のなかで、金子先生は、費用の負担を飼い主さんが口にできるかどうかにも触れていました。治療を、動物だけでなく、その子がいる家庭全体のこととして考えているのだと感じました。
——話しやすい感じが飼い主さんにも伝わって、飼い主さんも話しやすくなる、というのはありますもんね。
それが一番理想だと思うんです。動物が相手だと、人の小児科と同じように、その子たちから直接情報を得ることができません。意思の疎通ができない以上、そばにいる飼い主さんから情報を引き出すしかないんです。
なので、話しやすい雰囲気とコミュニケーション能力がないと、診察ができないな、というところもあります。話しやすい雰囲気作りは、一番大切なところなのかなと思っています。
——話しやすいからこそ、「そういえば、こういうことがあって」という話も引き出しやすいですもんね。
実は、その「そういえば」という情報が一番大事だったり、治療につなげられたりするんです。我々にとっては、その「そういえば」のほうが、聞いておきたかった情報だったりします。なので、全部言ってくださいよ、という感じで話を聞かせてもらっています。(金子院長)
「まずは何かあったら来てください。そこから始まる病院」
——院長から見て、この病院はどんなところですか? メンバーも含めて伺えますか。
メンバーも含めて、アットホームな雰囲気で回させてもらっているかなと思います。大きな病院でもあるので、早く何かしないと助からないような緊急事態で、ピリつくときも時にはあります。でも、全体的に見るとおおらかで、みんなニコニコ、ワイワイガヤガヤやりながら仕事に携わっています。
それが、いい意味で飼い主さんにも伝わって、みんなで患者さんに寄り添えたらいいのかなと。一言で言ったら、アットホームな雰囲気の、明るい病院という感じですかね。
——人数が多くなると、連携や認識の違いも出てくると思います。チームとして、心がけていることはありますか?
人が増えると、一人一人の感じ方も考え方もやり方も、全部違うと思います。それぞれ自由にさせてしまうと、ベクトルが定まらないところもあります。逆に、トップががんじがらめに軸を一本作ってしまうと、その子たちの良い個性も失われてしまいます。
なので、基本的には本人たちの自主性を尊重させてもらって、明らかにダメなものがあれば、少しテコ入れして戻します。トップとしては、全体を見ながら、良い方向に進んでいってもらうように整えている感じですかね。
——「ついてこい」タイプではなく、後ろから方向を整えるイメージなんですね。
そういうイメージだと思いますね。俺の背中についてこい、じゃなくて、自分は後ろから、みんなが列を明らかにはみ出さないようにしながら、なるべく同じゴール地点に向かって歩いていってもらう感じです。
——病院全体として、大切にしている方針も伺えますか?
ほかの獣医師にも言っているのは、対話もそうですけれども、無理はしないように、ということです。新しい人たちなら、1年目、2年目、3年目というところで、経験値の差によって、できること・できないことがありますよね。分からないことがあれば、すぐに上の先生に聞く。
できないのに「できる」と言ってしまうと、誰も得をしません。患者さんにとっても、誤診にまでつながってしまえば、来てもらったのに助けられない、ということにつながってしまいます。
なので、嘘偽りなく、分からないことがあったらすぐ聞いてください、報連相を大切にしましょう、というのは心がけてもらっています。(金子院長)
——奥田先生はいろいろな病院に出勤されていますが、引き継ぎで「あれはどうなっていたっけ」と大変になることはありませんか?
どうなっているか聞いてくれれば何でも答えますし、聞き合っているので、引き継ぎで困ることは、僕はあまり感じていないですね。もちろん人間なので、違う解釈をして、違う方向に伝わることはあります。
でも、ベースで考えているのは「この子にはこれをしたほうがいいよね」ということなので、最終的にはほぼ一緒になると思っています。
僕がいろいろな病院に行くので、なおさらそうしなければいけないと思っています。属人性の高い病院ではなく、全員がいい医療を提供できるように作っているつもりなので、もちろん、できること・できないことは変わりますが、ブレは少ないと思います。
属人性が高いとは、特定の人でないと分からない、対応できない状態のことです。
——これから目黒の病院をどうしていきたいか、将来像を伺えますか?
最初に言ったとおり、困ったらここに来ればという病院にはしたいです。どれだけしんどくて、「もうこれは難しいから、おうちでゆっくりしてね」と言われたとしても、本当にできることはないのか、それでいいのか、という選択があると思うんです。
もちろん、その通りおうちでゆっくりするのが最善ということもあります。「こういうことができるかもしれません」ということもある。その選択が合っているのかどうかも含めて、飼い主様に寄り添い、病気のための手段を提供できる病院になれるといいと思いますね。(奥田統括院長)

——金子先生が最近、力を入れていらっしゃることはありますか?
自分は目が得意といいますか、眼科専門でもやっているので、目に力を入れているのは昔からです。グループの病院全体で、再生医療という分野にも今力を入れているので、もしご希望があれば、そういったお話もさせてもらいます。
公式サイトには眼科の案内ページがあり、涙や目やにが増えた、目の色が変わってきた、といった相談例が紹介されています。
——最後に、飼い主さんへのメッセージをお願いします。
本当に、困ったら来てください。不安な気持ちがあるなかで、もちろんかかりつけの先生を信頼していただきつつ、ほかの意見を聞くことも重要なことだと思います。
三人寄れば文殊の知恵じゃないですけど、いろいろな病院でいろいろな意見を聞くことで、治療方針は変わらなくても、心の持ち方や治療への向き合い方が変わってくることもあると思います。いろいろなことで困ったら、相談しに来ていただければと思います。(奥田統括院長)
何か困ったことがあれば、すぐにご相談しに来ていただければと思います。「あの病院があってよかった」と思っていただけるような病院作りを、これからも続けてまいりますので、お気軽にご相談しに来ていただければと思います。
——まずは、来てくださいと。
そうですね。まずは何かあったら来てください。そこから始まる病院ですかね。「ちょっと相談してみようかな」「気になるかな」というところから話が広がって、「じゃあ、これはこうしたほうがいいかも」とつながっていける。
本当に、カフェテラスみたいに、みんなが集まるような病院に仕上がっていけば、一番いいんじゃないかなと思います。地域に根差した、街のお医者さん、かかりつけとして、どこまでも診られるのが一番の理想かなと思っています。(金子院長)
CTやMRIを使って、しっかり答えを出すこと。飼い主さんが、費用のことも含めて言いたいことを言える関係を作ること。お二人には別々に話を伺いましたが、最後はどちらも、困ったことがあればまず相談に来てほしい、と話していました。
目黒アニマルメディカルセンター 基本情報
| 所在地 | 東京都目黒区目黒3丁目9-3 104号(目黒パークスクエアの1、2階) |
|---|---|
| 電話 | 03-5725-3239 |
| アクセス | JR目黒駅西口、都営三田線目黒駅から徒歩約8分。山手通りと目黒通りの交差点(大鳥神社)。敷地内に専用駐車場2台 |
| 診療時間 | 10:00〜13:00 / 15:00〜19:00 |
| 診療日 | 公式サイトでは「年中無休・予約優先制」と案内されています。診療時間の表では日曜日が休診の表示のため、日曜日の受診はお電話でご確認ください |
| 対応動物 | 犬・猫 |
| 保険 | アニコム損保、アイペットの窓口精算に対応 |
| 診療以外 | ペットホテル・美容室(当院を受診されていない方も利用可能) |
| 公式サイト | 目黒アニマルメディカルセンター |
取材は2026年9月5日に行いました。基本情報は公式サイトの記載によります。公式サイトでは、2026年9月から2027年1月まで駐車場の利用方法が変わることも案内されています。診療日・診療時間などの最新情報は、公式サイトまたは病院へのお電話でご確認ください。

