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動物医療センター目黒中央の院内のCT装置と麻酔モニター
インタビュー動物病院
東京都目黒区の動物病院

「諦めずに連絡をいただければ」。動物医療センター目黒中央・井口和人院長に聞く、CTと外科、心臓病の相談

取材: 2026年10月19日 / 取材・文: 動物病院ナビ編集部

東京都目黒区鷹番にある動物医療センター目黒中央は、犬と猫を診る動物病院です。動物医療センターグループ(AMCグループ)の一つで、CT検査のほか、循環器科(心臓病)、腫瘍科、腹腔鏡外科、整形外科の診療を掲げています。

院長の井口和人先生は、心臓の手術を得意とする獣医師です。獣医師を目指したきっかけ、心臓外科を学んだ道のり、グループの中でのこの病院の役割、飼い主さんとの向き合い方を伺いました。

動物医療センター目黒中央の外観の看板
目黒区鷹番の動物医療センター目黒中央(取材後の夜に撮影)

動物を治すっていうのもいいな

井口院長
井口 和人
動物医療センター目黒中央 院長
麻布大学卒業。獣医循環器学会認定医、医学博士(心臓血管外科講座所属)。心臓病の中でも、僧帽弁閉鎖不全症の手術治療を得意としている(公式サイト)。

——獣医師になられたきっかけを、お聞きしてもよろしいでしょうか?

もともと動物が好きで、小学校の頃は、虫を捕るのが生きがいでした。動物に関わる仕事をしたいと思っていたんですが、家では犬を飼ってはいけないと言われていたんです。自宅で生け花をやっていて、教わりに来る方が出入りするので、犬はNGでした。

きっかけは漫画なんです。『ブラックジャック』という、手術を描いた作品を読んだときでした。一話が、シャチを治すところからなんですけど、シャチとの心の触れ合いみたいな場面があって。動物を治すっていうのもいいなと思い、獣医という仕事があると知って、動物の医療をやりたいと思いました。

——獣医学部に入られてからは、どんな流れで今に至るのでしょうか?

大学の研究室が、動物の心臓病を手術で治す研究をしているところでした。そこで覚えた心臓の手術を、臨床の現場でやっていきたいと思っていたんです。名古屋に、心臓外科の先駆けの先生がいらしたので、そちらに修行に出ました。3年間、心臓外科にどっぷり浸かりました。

その後、実家が東京なので戻って仕事を探し始めたんですが、あまり需要がなくて、心臓の手術は諦めないといけないかなと思った時期がありました。公務員も考えたんです。そんなとき、当時の院長で、いまは代表取締役を務める方に会い、ぜひうちでやってほしいと言われて、入職を決めました。

当時は、グループの病院が小滝橋動物病院の一軒だけの時代でした。そこで3年ぐらい働いて、認定医を取りました。きっかけは心肺装置の購入で、2015年から心臓の手術を始めています。やりたいことと、代表の構想する高度医療の実現がマッチしたので、今もずっとここで働いています。

——もともとは、心臓をメインでやっていきたいというお気持ちだったんですね。

そうですね。それが、今ここで続けているモチベーションにもなっています。

心臓の手術を諦めかけた時期があり、心肺装置の購入をきっかけに、2015年から手術を始められたと伺いました。その思いが、今もこの病院で働き続けるモチベーションになっているというお話でした。

井口院長
井口和人院長

ここでやっぱり見落としがないように

——グループの中での住み分けというか、目黒中央の役割を教えていただけますか?

23区の南側にはCTがなかったのもあって、CTを担う病院です。CTをやるとなると、そのままお腹の中の手術をすることが多くなるので、軟部外科というところが、ここの役割なのかなと思います。

CT検査は、体の中を輪切りのように撮影して調べる検査です。軟部外科は、骨以外の臓器や組織の手術を指します。

——このエリアには他の動物病院さんもありますが、その中ではどんな役割になるでしょうか?

まだ認知されていない部分も多いと思いますが、本当に難しい症例や、画像診断が必要な場合です。CTは大学で、となると、かなり待つことになってしまいます。こちらなら、そういった撮影をなるべくすぐに受け入れられるので、患者さんの気持ちに早く応えられる、というところはあるのかなと思います。

CTの撮影や、そこからつながる外科手術まで、近隣の病院から紹介いただくことが、今年になって、ようやく少しずつ増え始めたかなという感じです。

——ちなみに、どんなご相談が多いのでしょうか。専門的なところを調べて来られる方が多いのか、かかりつけとして来られる方が多いのか、気になります。

紹介は、心臓、整形、腫瘍、CTといううちの売りの部分に集中していて、そこが圧倒的に多いです。ご自身で探してきてくださる方も、心臓病や整形外科、あとは腹腔鏡で選ばれる方が一定数いらっしゃいます。

近いから、という方もいますが、調べてきてくださる方が今は増えていて、うちの強みに合った方が来ているような印象があります。

——院長として、スタッフの方に共通してお願いしていることはありますか?

一番は、地域の最後の砦じゃないですけれども、ここで見落としがないように、というところです。基本的には、どんな方であっても受け入れましょう、ということと、諦めない、ということ。それから、来てくださった方には、なるべくしっかりした検査と説明で、まずは診断をしっかりつける。そこは、スタッフに結構、口を酸っぱくして言っています。

大変だと思うんですけど、それなりにみんな、やりがいを持ってやってくれていると思います。

——体制としては、何名ずつでいらっしゃるのでしょうか?

ここはまだ立ち上げて2年ぐらいなので、高度医療に直面する医師と、若手が一人、セットで動いていて、割と最小単位でやっていると思います。今日は看護師が2名、獣医師が2名の体制ですが、昼の手術のときには、人が集まってくるような形になります。

——グループの中で、この手術があるからと、応援に行ったり来たりすることもあるのでしょうか?

もちろんあります。お昼の時間は、基本的にどの病院も手術の時間にしているので、ここで大きな手術があるときは、どこどこの病院の者はここに行って手伝いましょう、というふうに動きます。逆に、他の病院で手術を実施するので、何人かは行く、ということもあります。

病院どうしで協力が取れるのも、強みではあります。

動物医療センター目黒中央のCT装置
院内のCT装置

何でも話せるし、相談しやすい

——先生が、飼い主さんとコミュニケーションを取るときに、大切にしていることはありますか?

一般的かもしれませんが、医療の担い手としての役割は認識したうえで、それはさておき、話しやすい、何でも話せるし相談しやすい、というところを気にしています。あまり怖い言い方をしないようにとか、専門用語はなるべく使わないようにしようとか、そういうことですね。

——すごく柔らかい話し方で、飼い主さんも話しやすく感じるだろうなと思いました。

やっぱり、いろいろ聞き出さないとスタート地点に立てないので、最初はよく聞く、というところにベースを置いています。とにかく話しやすい空間を作る、ということには気をつけています。

質問で聞き出すこともありますが、気にしていることは多岐にわたるので、まずそれを全部言ってもらうところがスタートなのかなと思います。

井口院長

——看護師さんも含めて、目黒中央らしさというと、どんなところでしょうか?

高度医療をやっていると、機械的というか、システム的で怖い病院、というイメージになりがちかもしれません。なるべく患者様に寄り添うことと、高度医療だけれどもホスピタリティがすごい、というところを、今目指しています。そこが売りなのかなと思います。

受付の看護師さんたちも、テキパキするときはするんですけど、割とアットホームで、話しやすい雰囲気を重要視しています。

——病院のデザインやコンセプトは、決められていたのでしょうか?

代表のコンセプトでもあるんですけど、なるべく動物病院っぽくしない、ということです。人の医者でもこんな感じにはしないだろう、というくらい、とにかく中が見えるのを重要視しています。人がいるのが分かるというのもそうですが、獣医師の緊張感が出ますし、オープンな雰囲気にもなります。入りやすいというのもあるかとは思いますが、とにかくよく見えるようにしています。

——外からも見えますし、中に入っても、ここも見えますもんね。

そうなんです。何をやっているのかが分かります。飼い主さん側からしても、預けても、何をしているのかが少し見えるので、安心、という感じでしょうか。

——見られている意識というか、緊張感は、確かにありそうですね。

それはあると思います。

高度医療をうたう病院は少し構えてしまう、という点を、院長ご自身が先に挙げていたのが印象に残りました。お話では、話しやすさと、中が見える造りの両方を大切にしているとのことでした。

動物医療センター目黒中央の待合の廊下
待合の廊下

難しいかもっていうところからが僕たちの仕事

——開院から2年ほどになると思います。これから、この病院をどうしていきたいですか?

やっと紹介が増えてきてはいるんですが、それでも新規の患者さんのうち、10パーセントぐらいなんです。紹介いただく割合をもう少し増やして、同時に新規も増えるという状況にできると、本来のここの目的は達成できるのかなと思います。

3年目は、近隣との連携に、ようやくちょっとずつ、ツテができたところです。たとえば、来ていただいた患者さんはお返しした上で報告書を提出する、といった仕事をしっかりやって、関係を作っていけたらなと思っています。

——セカンドオピニオンで来られる方も、多いのでしょうか?

いらっしゃいますね。その時に連絡を取り合うのも、いいのかなと思っています。患者さんが、ご自身で来られていることが多いので、こんな方が来ていて、今こういうふうにしていますよ、というのは伝えたほうがいいのかなと。

セカンドオピニオンは、いま受けている診断や治療について、別の獣医師の意見を聞くことです。

——近隣の病院さんとも、密にやり取りをされるのでしょうか?

忙しいと抜けがちになってしまうんですが、なるべく密に連絡を取り合いながら、というところです。終わったあとの連絡も、大事かなと思っています。

——記事を読んでくださる、まだ来られたことのない飼い主さんに向けて、ひとことお願いします。

治療を諦めてしまう、もうダメかも、ということもあると思います。それでも、まずはご相談いただいて、第三の手のようなものを提案できるように、頑張っているところです。

他の病院で匙を投げられたとか、もう難しいかも、というところからが、僕たちの仕事かなと思っているので、諦めずに連絡をいただければと思います。もちろん、ダメな時も中にはあります。

——他ではダメと言われたけれど、こちらで救えた、ということもあるのでしょうか?

そういうパターンもありますし、残念ながら、ということもあります。それでも、何かしらやれることがあるというだけで、患者さんの気持ちが救われたり、何もしないよりは、ということを示せるのではないかと思います。

動物医療センター目黒中央の診察室
診察室(診察台と椅子)

動物医療センター目黒中央

所在地〒152-0004 東京都目黒区鷹番1-1-20
電話03-6412-8303
診療動物犬、猫
診療科CT検査、循環器科、腫瘍科、腹腔鏡外科、整形外科
診療時間午前 9:00〜12:00/午後 16:00〜19:00(受付は30分前まで)
休診日年中無休
予約予約制(当日予約可)
アクセス東急東横線 学芸大学駅から徒歩約11分

最新の診療時間や、獣医師の出勤日は、公式サイトでご確認いただけます。