「最後まで話を聞いて、そこからですね」

——病院について教えてください。
世田谷区にある世田谷かける動物病院で、院長をしています。犬と猫を診察しています。
独立するとなった時に、以前勤めていた世田谷区内の病院の先生にも相談していました。たまたまこの病院の話があって、世田谷区なら人の感じもなんとなく分かるので、ここでやろうということになりました。
特定の領域だけに絞るというより、何かあった時に「とりあえず、あそこへ行こう」と思ってもらえるような病院です。上から下まで、幅広く診察しています。
「かける」という名前には、人と動物の掛け算や、元気に駆けるという意味があります。「かける」にはいろいろな意味があるよね、というところから決めました。
——診察するうえで、心がけていることは何ですか。
もう、最後まで話を聞くってことですね。こっちの中で「たぶんこうだろうな」と思っても、最後にヒントみたいなものが転がる時もあるので。最後まで話を聞いて、そこからですね。
飼い主さんは、しゃべりながら、その時の状況を思い出していくんです。「普段と違うものを食べていませんか」と聞いた時には、「ごはんは変えてないけどなあ」と言っていても、話しているうちに「あ、おととい、おばあちゃんが何かあげてたわ」となることもある。「じゃあ、たぶんそれだね」と。そういうこともあるので、最後まで聞きます。
——獣医師を目指したきっかけと、これまでの経験を教えてください。
父親が獣医師だったので、動物病院は身近にありました。家にも常に何かしら動物がいる環境で育ったので、「ここから獣医師になるぞ」という強い決意があったというより、なんとなく獣医師になるんだろうなと思いながら進んできた感じです。
もともとは麻酔と救急をやっていました。大学病院には終末期の子や、亡くなる一歩手前のような状態の子も来ます。ここから戻れることもあれば、ここまで来ると難しいということもある。そういう境目を経験できたことは、今の診療にもつながっています。
「まず『分からない』とお伝えします」

——体調不良で来院した子を、どのように診ていきますか。
下痢や、風邪っぽい、口臭が気になる、歯が汚れている、最近せきをしているなど、相談はいろいろです。「なんとなく体調が悪い」という状態で来る方も多いですね。
原因が分からない時は、まず「分からない」とお伝えします。ただ、問診をしていると、散歩中によくにおいを嗅ぐとか、普段と違うものを食べたとか、何か見えてくることもあります。
ただし、それはお話から推測しているだけで、本当に病気が隠れていることもあります。獣医師としては、全部検査できれば情報はそろいます。でも、毎回すべての検査をすればいいわけでもありません。
おおよそ考えられることをお話ししたうえで、ほかの病気を除外するために検査をするなら、どのような検査が必要で、どのくらい費用がかかるのかを説明します。そのうえで、どうするかを一緒に決めます。
まず今起きている症状に対応して、数日で良くなるかを見る方法もあります。良くならなければ、次に血液検査などを考える。今日検査をしないのであれば、「4、5日後も体調が悪かったら、必ず来てください」と伝えます。次にいつ来てもらうかまで話しておくことは、気をつけています。
——病院併設のトリミングには、どのような子が来ますか。
健康診断もありますし、トリミングで来られる方も多いですね。病院に併設したトリミングなので、高齢の子や持病のある子、猫も来ます。猫を受け入れているサロンはあまり多くないようで、それで来られる方もいます。
ほかのサロンでは怒ってしまって難しかった子や、全身が毛玉になってしまった子について相談を受けることもあります。
病院なので、芸術的なカットはできないんですけどね(笑)。きれいに、快適に過ごしてもらえたらという方が来ることは多いです。
「ハードルがない病院にしたいですよね」
——これから病院を、どのようにしていきたいですか。
まずは、この病院を安定させることですね。ここは、もともと赤字だった動物病院を買い取っているんです。僕が独立するタイミングで話があって、「じゃあ買い取ろうか」と。まずここを安定させて、その次をどうするかです。
世田谷区内にも、そろそろ引退したいという先生がちらほらいます。そういう病院を引き継いで、組織にしていくのが現実的なのかなと思っています。ここは大きな病院ではないので、この中に人を増やし続けるという形にも限界があります。
自分がプレーヤーとして診療するだけなら、この病院一つでも十分なんです。でも、働いている人たちに還元するとなると、箱を何個か持っておかないと難しい。下の子たちに還元できないんですよね。
——専門診療も、自分たちのグループ内に持たせたいですか。
深くできるなら、深くしたほうがいいですよね。別の病院を構えて、そこは特定の分野に強くして、「その診療なら、あちらへ行きましょう」とできれば、患者さんをグループの中で診られます。
ただ、獣医師会には、それぞれの分野でトップの先生たちもいるので、そちらへお願いする形でもいいのかなと思っています。
外へ出すほうが、金銭的な利害関係がありません。必要だと思ったら、シンプルに紹介できる。自分のグループ内で収益や利益を考えないといけなくなると、無理に頑張ってしまうこともあります。うまくいけばいいですけど、うまくいかなかった時は誰も幸せにならない。だったら、得意なところに全部任せたほうが健全かもしれません。その線引きは、まだ考えているところです。
——地域で、どのような病院でありたいですか。
ハードルがない病院にしたいですよね。「とりあえず、なんか具合が悪そうだから」「散歩のついでに寄りました」みたいに、気軽に来てもらえるような。
飼い主さんの中には、病院へ行くと先生に怒られるかもしれないと思う方もいるらしいんです。生活のことで、「これはあげちゃだめですよ」とアドバイスすることはあります。でも、怒ることでもないし、こっちもいじめようと思ってやっているわけではないので(笑)。そんなにびびらず、来てほしいなと思います。
散歩仲間の井戸端会議みたいなところで、「うちの子、最近こうなんだよね」「とりあえず、あそこへ行ってみればいいじゃん」と、フランクに名前が挙がる病院にしておきたいです。
僕たちが診察室で見る姿より、日々一緒にいる飼い主さんのほうが、細かい変化を正確に分かっているはずなんです。「何かおかしいな」と思った時に来てもらえたらいい。何もなければ、それがいちばんですから。

世田谷かける動物病院 基本情報
| 院長 | 赤木渚 |
|---|---|
| 所在地 | 〒154-0017 東京都世田谷区世田谷4-18-7 |
| 診療対象 | 犬・猫 |
| 診療時間 | 9:00〜12:00/15:00〜19:00 15:00〜16:00は完全予約制 |
| 電話 | 03-5451-5188 |
| 公式サイト | setagaya-sakura-ah.com |
病院情報は2026年8月10日に公式サイトで再確認しました。最新情報は受診前に公式サイトまたは電話でご確認ください。本稿は個別の診断・治療を代替するものではありません。
